2005/9/10 仕方なくこそこそと観てきました。劇場版響鬼&マジレン。 結構大きなお友達もいるんじゃないかなーなんて思ってたけど、余すところなく家族連れで賑わっておりまして、すこぶる肩身のせまい思いをしてきましたが。 最終上演時間に行ったので客の入りがまばらだったのは救いと言えば救いと言えよう。 (この先豪快にネタバレなので未見の人はご注意を) 魔法戦隊マジレンジャー THE MOVIE インフェルシアの花嫁 冥獣人バーサーカー一族の王・グルーム・ド・ブライドンによって、いきなりさらわれてしまう山崎さん。バーサーカー王の鎧には一族郎党の魂が死霊となって取り憑いていて、それはグルームが純粋な心を持つ人間の女性と婚姻することによってこの世に蘇り、不死身のバーサーカー軍団となるのだ。……っていうのはグルームが山崎さんをさらって来ちゃった後に分かったことで、一目惚れしたので思わず連れてきてしまったってのが実体だったりする。 インフェルシアまで山崎さんを助けに行くには、ドコにでもいける能力を持つ一角聖馬ユニゴルオンの力が必要だということで、成長させたマンドラにしがみついていくという限りなく強引な手段でマジトピアに乗り込むマジレンジャー一同。 ここで、彼らにエレメントの力を貸している各天空聖者との邂逅が。ちょいびっくりしたのは、変身する時うしろにヌッと現われるエレメントの精霊さんみたいなものが、天空聖者そのものの姿だったということ。天空聖者はそもそもそういう風体らしくて、マジレン不在の間に地上でグルームと交戦していたヒカル先生も、マジシャイン形態を破壊され思わず天空聖者形態に戻ってしまうというなかなか興味深い場面がある。それじゃ人間形態はともかくマジシャインに変身する意味はあんのかって話なんだが。 永きに渡る悪役生活の果てにとうとう正義側の頂点に君臨した曽我町子、とかいろいろ見所はあるものの、とりあえずユニゴルオンを貸してもらうことに成功した魁は、単身インフェルシに乗り込む。 今にも婚姻が結ばれようというその間際、式場をぶっ壊して駆け込んでくる白馬に乗ったマジレッド。そしてユニゴルオンの作り出した魔法の玉をグルームに蹴りこむと、一瞬にしてそこは小洒落たチャペルに大変身。山崎さんに着せられた黒いドレスも純白のウェディングドレスに早代わりして、「助けに来たよ」「遅いゾ」などと乳繰り合う二人。あの、一応ここは地底冥府のド真ん中なんですが。これもユニゴルオンの力なのだろうか。どこへでも連れてってくれる一角聖馬は二人だけの世界へも連れて行ってくれますか。 そんなこんなで無事山崎さんを救出する魁。そして後を追って地上に出てきたグルームとの最終決戦に突入。ここではマジレッドVSグルームの一騎打ちがなかなかの見応え。こういう殺陣の迫力とかスピーディさは年々向上してく感じで嬉しいところだ。 最後はグルーム自ら超冥獣リビングソードと合体し、ソード・オブ・グルームとなっての巨大戦。このソード・オブ・グルームの形状は一言で言えばレギオン。非人間形状だと触手だけでピシピシやったり光線をビービー発射したりする戦いになりがちなところだが、もうバリバリの肉弾戦で思った以上に動く動く。これに対抗するのはマジフェニックス+ユニゴルオンによって誕生したセイントカイザーなのだが、こっちはこっちでマジドラゴンにぶらさがって空中ブランコをかましたりするはっちゃけぶり。こんなに空間使ったロボ戦はアバレンオーVSエヴォリアン要塞以来じゃなかろうか。うーん。なかなかいいもの見た。 まぁ良い意味でマジレン味満載の映画だったと言うべきか。コテンパンにやられたヒカル先生が何食わぬ顔で戦線復帰するのも含めて。今回の一件で山崎さんにも魁=マジレッドなことがつつがなくバレたようだし、ここら辺テレビとどう繋がってくるのかも楽しみなところ。 あ、一応ウルザードも出てました。あってもなくてもどうでもいいような場面だったけど。 劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 時は戦国。魔化魍オロチを擁する血狂魔党に住みつかれた海辺の村では、毎年オロチの生贄として若い娘を差し出していた。村の少年明日夢は、今年の生贄に選ばれた幼馴染のひとえを救うため、魔化魍を退治する力を持つと噂される「鬼」を探す旅に出る。そして総勢8名の鬼が集結。彼らは力を合わせてオロチを退治し、それに感謝した村の人々は鬼を助ける組織を作ろうと決意するのだった。 大筋はそんな感じ。要するにこれは「猛士誕生秘話」なのである。 そう言われれば響鬼の世界観を掘り下げるものとして意味のあるもののようにも思えるのだが、内容的にはちょっと首を傾げざるを得ない部分もちらほら。 大きく言えば4つほど気になる点がある。 まず、戦国なのに戦国テイストに乏しいこと。 セリフが英語交じりなのはこの際ご愛嬌だとしても、装備まで現代版まんまなのは違和感が。特に烈風。さすがに銃器をバンバン速射するのは些か興冷めだ。DAに至っては巨大化するという変な機能まで追加されているし。アカネタカに乗って飛ぶなんてことをやられちゃうと、昔のDAの方がスゲーじゃんって話になってしまうじゃないか。 どうせなら昔はもっと不便だったっていう描写に凝って欲しかったな。そうでないと日々装備の開発に勤しんでいるんみどりさんが報われない。以前チラッとテレビに登場した紙の式神なんかが活躍すると面白かったなーと思うけど。 もっともこの映画は「現代に現われた魔化魍オロチを倒すため、オロチについて書かれた文献を読んでいる明日夢の想像」の体を取っているので、響鬼や威吹鬼といったおなじみの名前から明日夢が勝手に連想したことだと考えれば説明がつくのだけど、それなら完全なる戦国ファンタジーとして、もっと荒唐無稽に描いてもいいのに。いっそ響鬼がバイクで登場するぐらいやってくれれば。極論だけど。 第二に、猛士結成の流れに納得がいかないこと。 村長の一存で鬼を集めたはいいが、村人たちの鬼に対する偏見が尋常ではなく、せっかくオロチを退治してやろうとやってきた鬼一同を最終的には焼き討ちにする始末。 これは裏切った歌舞鬼によって仕組まれた「村人が鬼に暗殺される」事件の影響もあるのだが、それ以前からオロチ退治に来たこと自体をよく思ってない村人が、果たして実際に退治してくれたことに対して「支援組織を作ってやろう」なんて思うほど感謝するんだろうか。むしろ用済みだからさっさと出て行けぐらいにしか思ってないんじゃなかろうか。 暗殺事件が鬼の一員である歌舞鬼の仕業なのは事実だし、それは奇しくも「鬼なんて魔化魍と変わらない」という村人の偏見が、偏見でなくなったことを意味する。せめてその後村人が鬼に対する認識を改めるような、例えば苦戦する鬼を何らかの形で助けてやるとかそういう描写のひとつもあればいいのだが、生憎それもない。 なにより歌舞鬼に惨殺されたのが、ひとえを差し出してオロチの許しを請おうとする連中だというのも微妙な話。後の猛士の礎になる村の人には、たった一人を守るために村が全滅しても厭わないぐらいのココヤシ村精神を持ってて欲しい、って思うのはわがままか。 第三に、7人も戦鬼要らない。 登場した魔化魍がオロチだったんで、ひょっとして8体あつまってヤマタに進化?とか、だから8人鬼が必要なんだな!とか勝手に想像してたんだけど、そういうのは何もなし。手当たり次第に集めたら8人いたというだけだった。 一応全員の音撃は披露されるのだが、ヒトツミひとりにこれでもかとぶち込まれるだけで、あんまり多種類ある有効性は見せられず。せめて作戦を立てて魔化魍を攻略しようという動きでもあれば面白いのだが、最も肝心なオロチ退治に関しては「古文書が破れてて読めない」という哀しい出来事によって一切の描写無しという有様なのだ。 そのオロチは現代パートにおいて、「猛士の剣」を使って強化された響鬼の一撃で粉砕される訳だが、これが戦国パートにおけるオロチ退治の答えだとすれば本当に他の鬼要らないことになってしまう。それならそれでオロチとの一騎打ちに向かう響鬼を援護し露払いの役目を負う鬼たち、っていう方が連帯感があって良かったのになぁ。 で最後に、やっぱりどうにも話が詰め込み過ぎ。 猛士誕生の過程に掘り下げが足りないのは、入り組んだ設定の消化に追われたせいってのがあると思う。村人と鬼の確執に加えて、明日夢とヒビキの確執、歌舞鬼の裏切り、ついでに魔化魍退治。どれも中途半端で急ぎ足になってしまっている印象だ。 何を一番重要視しているのか、それがよく分からない。 鬼と村人の和解も、魔化魍退治も、前述の通りあまり描けてないし、明日夢がヒビキをどうして許す気になったのかについても、「猛士の剣」の存在ひとつでは説明不足に感じられる。 猛士の死をヒビキがどう受け止めているのか、それについて周囲からの彼に対する評価が欲しかった。ヒビキという人間性に明日夢が触れた上でこそ、猛士が彼のために作った剣が生きてくるのではなかろうか。 歌舞鬼の行動も然り。鬼として迫害を受け、人間が嫌いになったのは分かるが、それで魔化魍側についたのは何故。人を恨んで殺しまくりたいならそう出来るだけの能力を本人が持っているのだし、特に今回の事件で鬼のオロチ退治を邪魔しても、犠牲になるのは歌舞鬼が嫌う「大人」ではなく「子ども」のひとえだけであって、積極的に魔化魍に手を貸す意義もあまり感じないのだが。 穿った見方をすると面白いところもある。特筆すべきはロクに登場しない割に凄い存在感を残す明日夢の兄・猛士だろうか。 師匠であるヒビキのために精魂込めた剣を作るのだが、あんまり出来が良くなかったので恥かしくて渡せず、こっそり秘密の場所に隠していたという萌えキャラ確定みたいなこの行動。しかもこの怨念にも似たヒビキに対する愛情は今でもその剣に染み付いていて、ン百年後再びこの剣を手にしたヒビキ(別人)に装甲として取り憑いてしまうという強烈なもの。凄い。断然凄い。怨念が強すぎて獣の槍になっちゃったギリョウに匹敵するほどのラブパワーだ。 でもせっかく「音撃」というかつてない攻撃手段を駆使する響鬼なのに、強化した攻撃が結局斬撃なのはとても残念。ひょっとして音撃は地味すぎて子どもには不評なんだろうか。 あとエンディングでのバカ殿イブキははまり過ぎてて涙が出ます。 いやしかし平成ライダーの映画ってどうしてこんな風になっちゃうのかな。パラレルにしてまでやらなきゃいけないこと、がこれで本当に出来ているのか?と毎度毎度疑問ばかり残ってしまうのだが。やっぱりプロジェクトG4みたいに本編の番外編みたいな映画が見たいよう。 仮面ライダー響鬼と10人の戦鬼っつって関東勢大集結とかどうだ。うわぁいいなぁソレ。 |